軽食メニュー オムレツ 〜皆を包む温かさを〜

人参やピーマン、玉ねぎなどの個性豊かな野菜と挽き肉を、ふんわりとした卵で包んだスペイン風オムレツです。

<シェフ> マイ(ブースター)

ユアハイネスギルドが出来て間もないころ、ギルドは元々、議会をやることだけが目的で集まった人のみだった。
結束力もなく、ただ議会をするのみで、友情はチーム内だけのものだった。
それをどうにかしたいと考えたのが、チームBigbunのマイだった・・・

「どうしましょうかね・・・。」
マイとシャル、シルで結成されたギルド内友好委員会は今日も頭を悩ませていた。
というのも、それぞれのチームのメンバーに声をかけたのだが、全く良い反応は得られなかったからだ。
「レイは元々ツンデレですし、ユレンは人を信じないタイプだしね・・・。」
溜息顔でつぶやくシル。
「何か強制的にさせられないかね・・・。」
半場あきれ顔で言うシャルに、マイが何かを思いつく。
「ちょっと親方の所に行ってくる!」
「こらまてー!」

そうこうして、遠征が計画された。
当時のギルドメンバーのレベルよりも少し難しいところが選ばれ、皆自分を鍛える気が満々だった。
「良い傾向ですね。このまま皆協力して仲良くなって欲しいものですが。」
が、そんなにうまくはいかない。

遠征二日目。
意外にも皆のレベルでも簡単にクリアできるダンジョンばかりで、協力どころか、個人行動ばかりになっていた。
「困ったなあ・・・。」
委員会メンバーは頭を悩ませるばかり。
がチャンスというべきなのか、危機というべきものなのかはわからないが、状況が変わったのは直ぐ後のことだった。

とあるダンジョン。
そこには盗賊のアジトがあった。
その盗賊は非常に強く、誰も捕まえられなかった。
だが最近、アジトにこもるばかりに、金も物資も無くなってきていた。
そこに現れたのがギルドの遠征隊だった。

ギルドメンバーがある部屋に入ると不意に、出口が全て閉ざされた。
そして、盗賊団が現れる。
メンバーは顔色を変えると、直ぐに盗賊と戦い始めた。
が、明らかに盗賊の方が強かった。
あれよあれよという間に皆倒されていき、残ったのは五人。
マイ、サン、ユレン、シル、セナ。
と不意に。
「私が悪いの・・・。」
とマイがつぶやく。
「私がわざわざ強いダンジョンに行こうって言って。
皆こんな目にあって・・・。
シル達は、これを使って逃げて!」
こちらに投げられたのは穴抜けの玉。
だが、その玉は途中で粉々になる。
破壊したのは、ユレンだった。
「馬鹿野郎、逃げるわけねーだろ・・・。
俺たちは同じギルドの仲間だろ?
あきらめんな。」
そう言って、うつむいて下を向いて、そして。
「俺は皆のために戦う!」
マイが何かを言おうとした瞬間。
「伏せろ!」
ユレンが叫び、仲間が伏せると。
何らかの波動のようなものが、敵を撃退した。
「私だって・・・負けてばかりではいられません!」
といったセナが、敵に最後の一発をお見舞いした。

「ふー、どうも、ユレン、セナ。」
そう微笑んだのはシルだった。
「今まで、誰も信じられなかったが・・・。
まあ、いい。
ギルドの仲間は友達だ。
今まで自分の勝手な都合で冷たくしてごめんな。」
「いいんだよ!
分ってくれれば!」
というマイ。
「じゃ・・・。帰るか。」

そうこうしてギルドの仲間たちはギルドへ帰って行った。
マイは皆の妹的な存在となり、皆をいつも温かさで包んだという。

おまけのケチャップ
マイ達が去ったそのあと。
一匹のコイキングがそのダンジョンに訪れた。
そしてコテンパンの盗賊団を見つけて、コイル達保安官に連絡。
盗賊団はあっけなく逮捕されたという。
が、そのコイキングは何故か有名になってしまった・・・。

<afterword>
第一弾、オムレツです。
ありきたりな話で申し訳ない・・・。
次回は頑張ってユニークな話を書こうと思います。